どのような寄生経路を たどるのか? |
エキノコックスとは、キタキツネから排泄されるエキノコックスの卵が、人間の口に入ると感染します。 人間の肝臓に寄生し、自覚症状が出るまで十数年にも及び、放っておけば握りこぶし大の大きさに成長し、肝臓障害を起こして最後は死に至る病気です。 エキノコックスの恐ろしい点は、知らないうちに感染し、気づいた時には手遅れという点です。 エキノコックスは「虫」ですので、最初は卵で、成虫はキタキツネや犬、ノネズミなどの小腸に寄生します。 成虫が産み出した卵が宿主(ここではキタキツネや犬、ノネズミ)の糞便とともに外界に排出されます。 排出された卵が人間の体の中に入ってしまうと、体内で幼虫になってしまいます(口から入らないと幼虫になりません)。 人間から人間への感染はありません。 |
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キタキツネの 生息数と感染率 |
自然の中で、エキノコックスは、キタキツネや犬、ノネズミなどに寄生しています。 その最大の宿主であるキタキツネは、道内で5万〜10万頭と推定されており、そのキタキツネの感染率も次第に高くなっており、現在は38%に達しているといいます |
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どのように 人に感染するか |
キツネは、畜産施設の周辺に多く、患者は畜産関係者が多いといわれます。 エキノコックスの卵が口に入ってしまった場合に感染するため、エキノコックスが寄生したキツネやそのふんに直接さわったり、ふんに汚染された山菜や沢水を口にすると感染の危険があります。 人から人や、ブタや野ネズミから人に直接感染することはありません。 |
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エキノコックス症の症状 | ● 感染 まず体内で幼虫になります。 幼虫はそのまま肝臓に寄生します。 ●第一期 (潜伏期) 幼虫の発育は遅く、自覚症状が現れるまで数年から十数年ほどかかります。 肝機能は正常域です。 ●第二期 (進行期) 肝腫大に伴う上腹部の膨満・不快感などの不定症状がでます。 ●第三期 (完成期) 肝機能障害がおこります。 腹部症状の増強、発熱、黄疸などの症状がでてきます。 そのまま処置しないと約半年で腹水がたまり、やがて死に至ります。 エキノコックスそのものが子供の頭ぐらいの大きさになってしまう事もあるそうです。 何もしないと死に至る病気です。 |
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治療 | エキノコックス症は、放っておくとだんだん悪化して命にかかわることもありますので、早期発見・早期治療が大切です。 エキノコックス症の治療方法としては薬物治療もありますが、現在のところ、根治するためには、手術で切除するしかありません。 エキノコックス症はなによりも早期に発見し、早期に治療を行うことが大切で、そのことにより完全に治すことができます。 北海道では保健所で検診を実施しており、血液検査で感染の有無が判断でき、定期的な検査が呼びかけられています。 |
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エキノコックス対策 | ●加熱処理 野山の果実や山菜などを口にする場合は、良く洗うか十分熱を加えてから食べましょう。 清流と言えども生水は飲まないことを心がけ、飲む場合は、必ず沸かしてから飲みましょう。 エキノコックスの卵はマイナス20度くらいの低温では死にませんが、熱には弱く、煮沸すれば確実にこの卵を殺すことができます(100度で1分間、60度10分間加熱で死滅します) 。 ただし、流れる水や湧き水ならば飲む人もいるようで、100%安全確実ではないが、その感染確率は極めて低いという人もいます。 ●手洗い 野山に出かけ、帰ったときはよく手を洗うようにしましょう。 また衣服や靴についた泥もよく落としましょう。 ●キツネにさわらない かわいいからといって、キツネに餌づけしたり呼び寄せたりして触れることのないようにしましょう。 キツネの体毛に卵がついていることがあります。 |